カム用語集

同義語は⇒、類似語は→、関連語は▶印で示す。


外接カム
(circumscribed cam)
カムの軸心と従節の軸心を結ぶ線の幅の中で、カムと接触子の接触が行われる位置関係にある機構のカムをいう。ほとんどのカムはこのタイプのカムである。この場合、カム・従節ともに両持ちの支持ができる長所がある。▶内接カム
回転テーブル
(turn table)
⇒ターンテーブル
確動カム
(positive mechanical constraint cam)
カムフォロアがカム面から離れないように両方向の動きがカムによって拘束されているカム。高速・高精度が必要な時にこの形式のカムが使われる。
⇒拘束カム、▶共役カム
下死点
(bottom dead point)
▶上死点
仮想仕事の原理
(principle of virtual work)
質点に多くの力F1, F2,… が作用して平衡状態にあるとき F1+F2+…=ΣF=0.したがって、任意の仮想変位δsに対するこれらの仕事の和δWは0となる。
すなわち、δW=ΣF・δs=ΣXδx+ΣYδy+ΣZδz=0.
この仮想変位δsに対する仕事δWを仮想仕事といい、これらを仮想仕事の原理という。簡単にいうと、機構のエネルギが平衡状態にあるとき、Δt時間に機構の各部分がなす仕事量の総和がゼロになるという原理。直動系に関しては仕事量はF(力)×Δy(変位)、トルクに関しては仕事量はT(トルク)×Δγ(角変位)で与えられる。この原理によってカム機構の種類・構成・寸法などが未定でも従節の仕様が定まるとカム軸トルクが求まる。
角加速度
(angular acceleration)
角速度を時間で微分したもので、角速度の変化率を表す。また、角加速度はトルクと比例する。
加速度
(acceleration)
速度を時間で微分したもので、速度の変化率を表す。また、加速度は力と比例する。
片停留運動
(one-dwell motion, dwell-rise-return-dwell motion)
行程の始端または終端のどちらか一方だけに停留のある運動。上り行程と下り行程に同一曲線を折り返して使用する時、加速度を小さくでき、動きもなめらかになる。
▶両停留運動、無停留運動
カッター径補正
(cutter compensation)
加工工具径がカムフォロア径と異なるとき、輪郭に対し法線方向に、その差分を補正すること。
過渡振動
(transient vibration)
定常状態でない振動のこと。振動系に突然、非周期的な加振力f(t) が作用した時など、このような加振力に対する応答のこと。過渡応答ともいう。 ▶定常振動
カム
(cam)
ナイフエッジ・ローラ・平面などの単純な形状の接触子を持った節との直接接触によって出力に所期の運動動作を伝達する機械要素。
カム基礎円半径
(radius of base circle of cam, cam base radius)
カム形状を決めるための基準となる円の半径。通常はカム輪郭の最小半径。
カム曲線
(motion curve, cam curve)
カムによって動かされる従節の最終出力端の動作を時間あるいは入力変数の関数で表したもの。
→運動曲線
カム曲線特性値
(characteristics of cam curve)
カム曲線の無次元速度、無次元加速度、無次元躍動などの最大値あるいは最小値。これらから従節運動の諸元の最大値あるいは最小値が得られる。
カム径
(cam diameter)
カムの外径。
カム軸トルク
(cam shaft torque)
カム軸に作用するトルク。カム軸トルクと回転数との積がモータの必要動力となる。
カム軸摩擦トルク
(cam shaft frictional torque)
回転カムを用いたカム装置で、出力側に負荷をかけない状態で、装置を駆動するのに必要なカム軸トルクから内部慣性トルクを除いたもの。
カム代表半径
(representative radius of cam)
立体カムではカムの深さ方向で圧力角、曲率半径などの値が変化するため、カムの特性値を評価する上では代表と成り得るカム面のカム中心からの半径値を代表半径として使用する。尚、一般的にはカムの最大半径と最小半径の中間値を代表値とする。
⇒カム有効半径
カムバランサ
(cambalancer)
三共製作所のトルク補償装置の製品名。〔商標登録〕
▶トルク補償装置
カムフォロア
(cam follower)
スタッド付きのローラフォロアであり、外輪とスタッド間にニードルローラなどの転動体を組み込んだもの。カムと直接接触し、これを通じて変位・力・トルクなどを従節に伝える。
→ローラフォロア、円端従節、▶接触子
カムブランク
(cam blank)
カムの輪郭を加工する前の状態の素材。
カム有効半径
(valid radius of cam, mean radius of cam)
平面カムの圧力角、曲率半径を近似計算する際用いられる。カム半径を最大半径と最小半径の中間値で代表させたもの。⇒カム代表半径
間欠割出装置
(indexing drive, indexer)
一方向に停留-位置決め-停留の周期的・間欠的動作を行う装置。カム式間欠装置としてはローラギヤカム、パラレルカム、バレルカムの3つの形式がある。
⇒インデックスドライブ、インデキシングドライブ
慣性トルク
(inertia torque)
カム装置の出力軸に作用する負荷を検討する際に考慮するもので、負荷の慣性モーメントと出力加速度の積で表される。理論慣性トルクは慣性モーメントとカム曲線などから決定できる。
慣性モーメント
(moment of inertia)
物体を構成する各微小部分の質量dmとその部分の、ある一定直線からの距離rの二乗との積の総和。I=∫r2dm
工学単位系で用いる場合、GD2との関係は重力加速度をgとしGD2/4gで与えられる。
当社カタログでは、国際単位系(SI)による慣性モーメントは、記号をJ(kg・m2)として表記する。
▶GD2
機械振動
(machine vibration)
機械系に起因する振動。
軌道面
(track surface)
カムフォロア外輪が転動するカム面など、転動体が転送する面。
基本定格寿命
(basic rating life)
転がり軸受等をある一定回転で駆動させた時、90%の製品がフレーキングを起こす事無く駆動できる総駆動時間。なお、当社のインデックスでは、信頼度95%、定格寿命12,000時間(αシリーズは8,000時間)としている。
▶寿命時間、信頼度係数、フレーキング
切下げ
(undercut)
ローラ中心軌跡が先に与えられて、カムの形状が定められる場合、ローラ中心軌跡の凸部の曲率半径がローラ半径より小さいときカム輪郭に尖った部分が生ずる現象。カム設計に際して回避しなければならない現象の一つ。▶曲率半径
グロボイダルカム
(globoidal cam)
⇒ローラギヤカム
球面カム
(spherical cam)
立体カムの一種で、球形形状であるカム。▶立体カム
共役カム
(conjugate cam)
確動カムの一形式。パラレルカムのように、2枚のカムのそれぞれに2個のカムフォロアのそれぞれが接触するように構成されたカムで、一方のカムがカムフォロアを押しているとき、他方のカムが他方のカムフォロアによって背後から押されているような構成のカム。
▶確動カム、拘束カム
強制振動
(forced vibration)
振動体が外部から働く周期的外力によって行う定常振動。
▶定常振動、自励振動
共通法線
(common normal line)
2つの曲線が接している点において、共通接点を通り共通接線に垂直な直線。
極座標
(polar coordinate)
物体の位置を動径の長さrと、基準位置からの角度φで表した座標(r, φ)。
直角座標(x,y)との関係は、x=r cos(φ), y=r sin(φ)となる。
▶直角座標
曲率半径、曲率中心、曲率
(radius of curvature, center of curvature, curvature)
曲線の任意の点における曲がり具合を相当する円の半径の値で表したものを曲率半径、その円の中心を曲率中心、曲率半径の逆数を曲率という。切下げ現象の発生を判断するのに用いられる。
ちなみに直線の曲率はゼロで曲率半径は無限大となる。また一般にカムの曲率半径ρは円端従節の場合、カムフォロア中心の値をさす。▶切下げ
研削仕上げ
(grinding)
焼入れ・焼戻しを行った後、カム面を研削して高精度化をはかること。
原節
(driver, drive member, driving member)
従節に運動を与える要素。機構の入力側の節。通常、カムは原節である。
▶従節

(steel)
はがね、鋼鉄。C0.035~1.7%を含む鉄の総称。ふつうの鋼を炭素鋼といい、他の元素(Ni, Mn, Crなど)を成分とするものを特殊鋼という。
硬度
(hardness)
材料の硬さの度合いを表す数値。使用試験機により、ブリネル硬さ、ロックウェル硬さ、ビッカース硬さ、ショア硬さなどがある。
拘束カム
(positive cam)
従節の両方向の動きがいずれもカムによって拘束されているようなカムで、確動カムともいう。
溝カム、共役カムなど。⇒確動カム、▶共役カム
勾配角
(slope angle)
坂道における勾配、すなわち基準面に対する傾きの角度。たとえば"尖端直動従節の直進カムにおいて、カム面の勾配角はその圧力角に等しい"のように用いる。
固有振動
(natural vibration)
物体の振動において、とくに外力を働かせなくても振動し続けるような振動を、その物体の固有振動という。⇒自由振動

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